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株を始めた頃の私は、手法よりも先に本を買い込むタイプでした。ただ、エンジニアの仕事で身についた習慣がひとつだけ役に立ちました。それは、新しい技術を学ぶときに「原理を書いた一次資料」と「実装例を示したリファレンス」を分けて読む、という読み方です。
新高値ブレイク投資という手法を自分のルールに落とし込むまでに、この読み方で骨格を作ってくれた2冊を紹介します。派手な必読リストではなく、「この2冊をどう読んだか」まで含めて書きます。
もっと選択肢を見てから決めたい方は、新高値ブレイク投資・成長株投資を学べるおすすめ本6選で原理・実践・心理の3層に分けて整理しています。
原理の本: オニールの成長株発掘法
新高値ブレイク投資の原典にあたるのが、ウィリアム・オニールの一冊です。
「安く買って高く売る」という常識に対して、この本は「高値を更新した株を、さらに高いところで売る」という逆の発想を、過去100年以上の膨大なチャート検証から導きます。CAN-SLIMと呼ばれる銘柄選定の枠組みと、買値から一定率下がったら機械的に手仕舞うという撤退の規律。この「エントリー条件と撤退条件をセットで定義する」という思想が、いちばんの持ち帰りでした。
エンジニアの言葉に置き換えると、これは仕様書です。なぜ新高値に優位性があるのか、なぜ損切りをためらってはいけないのか、という設計思想が根拠のデータごと書いてある。分厚くて読みやすい本ではありませんが、ここを飛ばして手法だけ真似ると、相場が崩れたときに自分のルールを信じられなくなります。私は最初にここを読んでおいて良かったと思っています。
実装の本: 1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術
オニールが仕様書なら、こちらは日本株での実装例です。著者のDUKE。さんは金融の専門家ではなく、平日は会社勤めをしながらこの手法を実践してきた方で、その前提がそのまま本の設計に反映されています。
1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術(楽天ブックス)![]()
タイトルの「1勝4敗」が、この手法の本質をよく表しています。勝率で勝つのではなく、負けを小さく切って、勝ちを大きく伸ばす。5回に1回の勝ちでも、損失を一定幅で止めていれば全体では残る、という損益設計の考え方です。制御の仕事で言えば、個々の外乱をゼロにするのではなく、系全体としての安定性を設計する発想に近い。
私と同じ兼業投資家にとって現実的なのは、ザラ場に張り付かず、夜と週末の決まった時間で回せる運用が前提になっている点です。私自身、日中は開発の仕事があるので、判定を終値ベースに寄せる・チェックする項目を固定するという自分の運用スタイルは、この本の前提から多くを借りています。
2冊を「ルール」に変換した読み方
本を読んだだけでは、手法は動きません。ソフトウェアと同じで、仕様書とリファレンスを読んだあとに、自分の環境で動く実装を書く工程が必要です。私の場合は次の3段階でした。
- 要件定義: 2冊から「自分が守る条件」だけを抜き出して1枚にする。エントリーは新高値ブレイク、撤退はブレイク起点を終値で割ったとき、と条件文の形で書く
- 実装: 保有銘柄ごとに損切りラインとブレイク起点を表にして、毎朝それだけを機械的に確認する。判断材料の収集は仕組みに任せ、判断そのものは自分がやる
- テスト: 週次でトレードを振り返る。このとき損益ではなく「ルール通りに動けたか」を評価軸にする。ルールの改善は思いつきでやらず、記録が溜まってから見直す
この変換をやって初めて、本の内容が「知識」から「毎朝の手順」になりました。逆に言うと、2冊のどちらを読んでも、この工程を自分でやらない限り結果には結びつかなかったと思います。
まとめ: 順番は「原理 → 実装 → 自分のルール」
- オニールで「なぜ新高値なのか」「なぜ撤退規律が要るのか」という設計思想を押さえる
- DUKE。さんの本で「兼業の日本株投資家がどう回すか」という実装例を見る
- 最後に、自分の生活と性格に合わせたルールに書き直す
読む順番はこの通りが良いと私は思います。実装例から入ると再現はできても応用が利かず、原理だけだと明日から何をすればいいか分からない。エンジニアリングの学び方がそのまま通用する分野でした。
2冊に共通する「撤退の規律」を、実際にどう注文に落とし込んでいるかは損切りを逆指値で「仕組み」にする方法にまとめています。
本記事は筆者個人の投資手法の記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。


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