新高値ブレイクのスクリーニング設定手順 — 毎朝5分で候補を出す仕組みの作り方

ガラスの漏斗にローソク足チャートが注ぎ込まれるスクリーニングのイメージ図 投資

銘柄探しに夜な夜な時間を溶かしていた時期があります。ランキングを眺め、SNSで話題の銘柄を追いかけ、気づけば1時間。それでいて翌朝には「結局どれを監視するのか」が決まっていない。兼業投資家にとって、これは一番割に合わない時間の使い方でした。

いまの私は、銘柄探しを毎朝寄り前の5分で終えています。やっていることはシンプルで、固定した4つの条件で機械的にふるいにかけるだけ。この記事では、私が実際に使っている新高値ブレイク投資のスクリーニング条件と、無料ツールだけで回す毎朝の手順を、設定値ごと公開します。

なお、ここで挙げる条件を毎朝同じ手順で回せるかどうかは口座のツール次第です。逆指値・スクリーニング・手数料の3要件から選んだ話は新高値ブレイク投資を始める証券口座の選び方にまとめています。

スクリーニングは「探す」ではなく「捨てる」設計にする

最初に設計思想の話をさせてください。ここを間違えると、どんなツールを使っても銘柄探しは終わらなくなります。

日本の上場銘柄は約4,000。この中から「良い銘柄を探す」と考えると、探索範囲が広すぎて毎晩レビューしても終わりません。発想を逆にして、「条件を通過しなかった銘柄をすべて捨てる」と考えます。エンジニアの仕事で言えば、大量のログから異常を探すときに1行ずつ読む人はいないのと同じで、フィルタを直列につないで、通過したものだけを人間が見る設計にします。

フィルタの並べ方にもセオリーがあります。処理コストの低い順に置くことです。私の場合は「新高値(市場が計算済み)→ 時価総額(数字を見るだけ)→ 業績(決算を確認)→ 出来高(チャートを確認)」の順で、手間のかかる確認を最後に回しています。だから5分で終わります。

もうひとつの効用は、感情の入る余地が減ることです。「なんとなく良さそう」で監視リストに入れた銘柄は、「なんとなく」で買ってしまいます。条件を固定しておけば、候補に残った理由を必ず言語化できる状態になります。

私が使っている4つの条件(設定値つき)

条件は4つだけです。ひとつでも外れたら候補から外します。「惜しいから残す」をやり始めると、フィルタの意味がなくなるからです。

条件1: 52週高値をブレイクした(初動だけ)

株価が過去52週の高値を上抜けた銘柄だけを対象にします。新高値の水準では、その銘柄の保有者ほぼ全員が含み益です。つまり「早く売って損を取り返したい」という戻り売りのしこりがなく、上値が軽い。これが新高値ブレイク投資の土台になる考え方です。

重要なのは初動だけを対象にすること。ブレイクからすでに大きく伸びた銘柄は、条件を満たしていても見送ります。高値づかみのリスクの方が大きくなるためです。

条件2: 時価総額 3,000億円以下

中小型株に絞ります。時価総額の大きい銘柄は良くも悪くも値動きが重く、ブレイクしても伸びが鈍いことが多い。限られた資金で効率を出すには、伸びしろのある中小型が合理的というのが私の設定です。

条件3: 直近四半期の経常利益が前年同期比 +20%以上

業績の裏付けがない急騰は、ダマシ(ブレイクしてすぐ崩れるパターン)の割合が体感で明らかに高い。だから直近四半期の増益率でふるいます。+20%という数字は「材料や思惑ではなく、事業そのものが加速している」ラインとして置いています。

条件4: ブレイク時に出来高が増えている

出来高を伴わない上抜けは、少ない売買で株価だけ動いた状態で、これもダマシの典型です。ブレイクの日に出来高が普段より明確に増えているかを最後に確認します。

この4条件は、オニールの成長株投資(CAN-SLIM)の考え方を、日本株×兼業のリソースで回せる形に簡略化したものです。元にした考え方は教科書にした2冊の書評に書きました。

毎朝5分の手順 — 無料ツールだけで回る

証券会社の高機能スクリーナーがなくても、無料で完結します。私の毎朝のルーティンをそのまま書きます。

STEP 1(1分): 新高値銘柄の一覧を開く。 株探の「本日、52週高値を更新した銘柄」ページを開きます。年初来高値の一覧でも代用できます。ここがミソで、条件1の計算は市場とツールが済ませてくれています。自分で全銘柄をチェックする必要は最初からありません。

STEP 2(1分): 時価総額でふるう。 一覧の銘柄を時価総額で見て、3,000億円超を機械的に外します。迷う要素がないので一瞬です。

STEP 3(2分): 業績を確認する。 残った銘柄の決算情報で、直近四半期の経常利益(なければ営業利益)の前年同期比を見ます。+20%未満は外す。ここが一番時間を使う工程ですが、STEP 2までで対象はすでに数銘柄に絞れているはずです。

STEP 4(1分): 出来高を確認する。 日足チャートで、ブレイク当日の出来高が直近の平均に対して増えているかを見ます。

STEP 5(0分): 通過した銘柄をウォッチリストに入れて、終わり。 ここで買いません。スクリーニングはあくまで「今日から監視する銘柄」を決める工程で、実際に入るかどうかは、その後の値動き(初動の形や押し目)を見て別途判断します。判定と執行を分ける——センサーの値を読む処理と、アクチュエータを動かす処理を同じ関数に書かないのと同じです。

なお、候補ゼロの日は普通にあります。ゼロは失敗ではなく「今日は新しく監視すべき銘柄がない」という立派な出力です。無理に条件を緩めて候補をひねり出すと、フィルタを固定した意味がなくなります。

運用してみて分かった、つまずきポイント3つ

この仕組みを回す中で、私自身がやらかした失敗を先回りして共有します。

1. ブレイクから日数が経った銘柄に飛び乗る。 一覧に載り続けている強い銘柄を見ると「まだ間に合うのでは」と焦ります。私はこれで高値づかみをした経験があり、以来「初動以外は見送り、入るなら押し目を待つ」を条件に明文化しました。

2. 業績確認を飛ばす。 慣れてくると、チャートの形だけで判断したくなります。ですが振り返ってみると、業績の裏付けがないブレイクは崩れる割合が目に見えて高い。STEP 3は省略しない価値があります。

3. スクリーニング通過を買いサインだと誤解する。 4条件はあくまで「監視に値するか」のフィルタです。通過した銘柄をすべて買っていたら、資金もリスク管理も破綻します。私の場合、通過した候補のうち実際にエントリーまで進むのはごく一部です。

ちなみに私はこの手順を、決済済み84トレード分の実運用で使ってきました。その成績の全集計は別記事で公開する予定です(勝率などの数字はあくまで過去の結果で、この仕組みが利益を保証するわけではありません)。

まとめ — 条件を固定するから、朝5分で終わる

  • スクリーニングは「探す」ではなく「捨てる」。処理コストの低いフィルタから直列に並べる
  • 条件は4つ: ①52週高値ブレイクの初動 ②時価総額3,000億円以下 ③直近四半期の経常利益+20%以上 ④出来高増加
  • 無料ツールで回る。新高値の抽出はツール任せ、人間は業績と出来高の確認だけ
  • 通過=買いではない。スクリーニング(判定)とエントリー(執行)は分離する
  • 候補ゼロの日はゼロという出力。条件を緩めない

銘柄探しが夜の娯楽から朝のバッチ処理に変わると、浮いた時間と精神力を「入るか入らないか」の判断に集中させられます。兼業投資家にとって、これが一番のリターンかもしれません。

このスクリーニングが月ごとに何銘柄を通しているかは、新高値ブレイク定点観測シリーズで毎月の実測値として記録しています。

本記事は筆者個人の投資手法の記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました